2022.03.24

アトピー性皮膚炎は食べ物で悪化する?肌のバリア機能を高める食べ物とは

  • アトピーケア

アトピー性皮膚炎の治療や発症予防において、肌のバリア機能を高めることが重要であることをご存じでしょうか?

保湿によるスキンケアでバリア機能を補うことが治療・予防になりますが、肌に良いとされる栄養素を食事から摂ることで、内側からも健やかな肌づくりを目指すことができます。

そこで本記事では、アトピー性皮膚炎になる原因や肌のバリア機能を高めるために、どのような食事がおすすめかご紹介します。

アトピー性皮膚炎を改善するために、体の内側から肌のバリア機能を高める栄養素や食事について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎とは、アレルギー反応を起こしやすい体質の場合、バリア機能の低下によって、アレルゲンなどの刺激が肌内に侵入することで発症し、かゆみを伴う湿疹が慢性的に現れる疾患です。

ここからはアトピー性皮膚炎を発症する原因を3つの要因に分けて、それぞれの詳細を紹介します。3つの要因が重なると症状として現れる可能性が高いですが、1つでも要因が欠ければ症状として現れにくくなるとされています。

要因①アトピー素因

アトピー性皮膚炎を発症する要因の1つとして、アトピー素因というものがあります。

アトピー素因とは、簡単にいうとアレルギーを起こしやすい体質のことです。

アトピー素因

  1. 本人もしくは家族が、喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性の疾患を持っている又は、罹った経験があること。
  2. アレルギーと深い関係のある免疫物質である「IgE抗体」ができやすい体質であること。

IgE抗体は、皮膚科や内科、アレルギー科などで実施されているアレルギー検査などで調べる代表的な項目です。

アトピー素因は遺伝的・体質的なもので、現代医学においてそれを変えることは難しいと考えられます。したがって必然的にその他の要因への対策が重要になります。

要因②バリア機能障害

アトピー性皮膚炎の発症とバリア機能には深い関わりがあります。

バリア機能とは、その名の通り外界に対するバリアの働きを果たす機能のことで、皮膚の表面にある表皮が主にその働きを担っています。

具体的には、皮膚内の水分が外に逃げないよう保持する役割や、外的刺激が皮膚内に侵入しないよう防ぐ役割があります。

しかし、アトピー性皮膚炎の方の皮膚ではバリア機能が低下しており、皮膚に水分を保てず乾燥し、外的刺激が皮膚内に侵入しやすい状態になっています。

アトピー素因(刺激に対してアレルギー反応を示しやすい状態)を持つ場合に、外的刺激の侵入を許すことで、炎症やかゆみなどが症状として現れるのです。

バリア機能が低下する主な原因としては、様々なことが分かってきています。

アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、「セラミド」含有量の低下が確認されています。

セラミドは、角質層内で水分を保ち、細胞どうしをつなぎとめる働きを持っており、強固なバリア機能の形成には欠かせない成分です。

また、「フィラグリン」の減少が原因の一つということも確認されています。

フィラグリンとは、バリア機能を強固にする機能をもつタンパク質です。

アトピー性皮膚炎の方の何割かは、このフィラグリンの遺伝子異変により、フィラグリンの量がもともと少なく、バリア機能障害を起こしているといわれています。

要因③外的要因

アトピー性皮膚炎を発症する要因として、3つ目に外的要因が挙げられます。

アトピー性皮膚炎の外的要因の例としては、ダニやハウスダスト、ほこり、花粉、カビなどのアレルゲンや、汗、衣類などによる摩擦、乾燥、かきむしりなどが挙げられます。

洗剤などの日用品や化粧品が刺激になることもあります。

これらの環境因子が皮膚の内部に侵入し、アレルギー反応を示すことで炎症やかゆみが引き起こされるのです。

また、そのほかにも日常生活のストレスもアトピー性皮膚炎の原因になるケースがあるようです。

ただし、外的刺激を0にすることは、現実的に難しいともいわれています。

アトピー性皮膚炎と食事療法について

アトピー性皮膚炎の治療や予防に、アレルゲンになりやすい食べ物を避けると良いという情報を目にしたことのある方もいるかもしれませんが、取り入れるには注意が必要です。

特定の食べ物が明らかにアトピー性皮膚炎の悪化に寄与していると確認されている場合を除いて、一般的にアレルギー症状を引き起こしやすいとされる食べ物を避けることは推奨されていません。

特に赤ちゃんや子供における食事制限は、体重の減少や栄養障害など、健康への悪影響を及ぼす危険性が高いもので、アレルゲンになりやすいという理由のみで食べ物の種類を制限することは、アトピー性皮膚炎の治療に有効ではないと考えられています。

アトピー性皮膚炎に食物アレルゲンが関与する場合もありますが、食物アレルゲンの除去は、抗炎症外用薬による適切な治療を行ったうえで、症状の改善がみられない場合に薬物療法の補助として検討されるものです。

また特定の食物アレルゲンと症状の関係を明らかにした場合であっても、アレルゲンとなる食物を除去するだけで完治するものではないとされています。

まずは医師の指導のもとで、適切な薬物療法やスキンケアを行いましょう。

肌のバリア機能を高める栄養素

アトピー性皮膚炎は肌が乾燥していることにより発症リスクや悪化リスクが高まるため、肌の水分を十分に保つことやバリア機能を高めることは非常に重要です。

ここからは、健やかな肌づくりには欠かせない栄養素や食事についてご紹介します。

栄養素①タンパク質

タンパク質は、肌だけではなく髪の毛や爪なども作る役割があり、肌のハリや弾力を保つために必要な栄養素です。

タンパク質はアミノ酸を材料として体内で合成されます。しかし、アミノ酸の中には、ヒトが体内でつくり出すことのできない必須アミノ酸があり、食物中に含まれるタンパク質の形で体内に取り込むことが不可欠です。

1日に摂取するべきタンパク質の推奨量は年齢や性別、体格、運動量などによって異なりますが、18~64歳の男性は一日65g、65歳以上の男性は60g、18歳以上の女性は一日50gが推奨量とされています。

タンパク質は、主に乳製品や卵、肉や魚などに含まれているため、これらをバランス良く摂取することがおすすめです。

栄養素②ビタミンA

ビタミンAも肌には欠かせない栄養素の1つです。

主に皮膚や粘膜の健康維持に役立つ栄養素です。

緑黄色野菜を摂取することで、緑黄色野菜に含まれているβカロテンが体内でビタミンAへと換わります。

ビタミンAを摂りたい方には、レバーやほうれん草、ニンジンなどがおすすめです。

栄養素③ビタミンB2・B6・B12

ビタミンB2・B6・B12などの栄養素は、肌荒れを防ぐ役割があります。

ビタミンB2は糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関わる酸化還元酵素の補酵素として働きます。

ビタミンB6は摂取されたタンパク質や脂質の分解を助けてエネルギーに変換するための役割があります。

免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進にも必要となる栄養素です。

ビタミンB12は補酵素として、アミノ酸代謝、核酸代謝、葉酸の代謝に関わっています。多くの体内組織の機能や発達を正常に維持するために必要な栄養素です。

ビタミンB群が含まれている食材の例

  • ビタミンB2:レバー、納豆、卵、アーモンド
  • ビタミンB6:鶏むね肉、ニンニク
  • ビタミンB12:あさり、牡蠣

栄養素④ビタミンC

ビタミンCは、コラーゲンと呼ばれるタンパク質の合成に欠かせない栄養素です。

その他にも、鉄の吸収促進や免疫力の強化、体内に侵入した異物を代謝する酵素の活性化など、さまざまな役割を持っています。

ビタミンCを含む食べ物としては、イチゴやキウイといった果物やブロッコリーや小松菜などの野菜がおすすめです。

栄養素⑤ビタミンE

ビタミンEは抗酸化効果を持ち、外部からの刺激や紫外線から肌を守る役割があります。

肌内部の潤いを保つために重要な皮膚の新陳代謝を高めてくれることや、肌の血行を促進する働きもあり、肌のバリア機能を高めてくれる栄養素の1つです。

ビタミンEは豆乳やアボカド、イワシやいくらなどの魚介類に含まれています。

バリア機能を高める食事のとり方

続いて、バリア機能を高める食事のとり方を3つのポイントで紹介します。

普段の食事と当てはまる部分があるか確認してみましょう。

ポイント①食事のバランスを整える

食事をとる際には、まず食事の栄養バランスを整えることが重要です。

「主食」「主菜」「副菜」の3つが揃った食事を摂るように意識しましょう。

これらの3つが揃った食事を摂ることは、健康の為に重要な5大栄養素「タンパク質」「炭水化物」「脂質」「ミネラル」「ビタミン」をバランス良く摂取することにつながります。

食事をとる際には「主食」「主菜」「副菜」のバランスがとれているか、野菜が足りているかしっかり確認をするとよいでしょう。

ポイント②さまざまな食材を食べる

仕事の帰りが遅いからといって、毎晩同じような食事ばかり食べていませんか?

食事のバランスに気を付けていたとしても、毎日同じような食事をとると栄養素が偏ってしまいます。

肉を食べた次の日は魚を食べることや、卵を食べた次の日は大豆を食べるなどの工夫も大切です。

また、間食のおかしをやめることやファストフードの回数を減らすなどの我慢も大切です。

ファストフードは手軽に食べられるため、少し食べたい場合に利用しやすいですが、メニューのほとんどに脂質と糖質が多く含まれており、タンパク質は少ししか含まれていません。

そのため、小腹が空いた場合にはナッツやヨーグルトを食べるなど、肌に良い栄養素を多く含む食材を選びましょう。

ポイント③野菜をできるだけ摂取する

よく野菜は両手いっぱいの量を食べなければならない、と聞くかもしれませんが明確な量としては、1日約350gが目安とされています。

しかし、生の状態の野菜を350gも摂取しなければならないと考えると、正直難しいと思われる方もいらっしゃるでしょう。

その場合には、野菜をゆでる、蒸す、焼くなどの加熱調理をしたり、スープや鍋に入れたりすることで食べやすくなります。

また、朝食に野菜を摂取したい場合は、果物と一緒にミキサーにかけてジュースにすると手軽にたくさんの野菜を摂ることができます。

アトピー性皮膚炎を悪化させないためにはバランスよい食事をとることが大切

アトピー性皮膚炎になる原因には、アトピー素因やバリア機能障害、外的要因が挙げられ3つの要因のうちどれか一つでも変えることができれば、発症しづらいと考えられます。

しかし、生まれ持った体質を変えたり、アレルゲンを全く寄せ付けずに生活したりすることは難しいため、中でもバリア機能に対するアプローチは欠かせません。

炎症を薬物治療で落ち着けながら、保湿をはじめとするスキンケアでバリア機能を補うことが大切です。

また、特定の食物を避けたり、特定の食事を多く摂取したりすることで、アトピー性皮膚炎が完治することはありません。食物アレルゲン除去療法は、標準治療の補助として用いられることも場合によってはありますが、医師の指導のもとで行われるものです。

まずは、適切な治療を行いながらも、健やかな肌づくりの為にバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。

ライスパワー研究所では、このほかにもアトピー性皮膚炎のスキンケアに参考となる情報を発信していますので、ご覧いただけますと幸いです。

記事を書いた人

ライスパワー研究所
編集部

アトピー性皮膚炎は食べ物で悪化する?肌のバリア機能を高める食べ物とは

アトピー性皮膚炎と食事のとり方になにか関係があるのか気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?本記事では、アトピー性皮膚炎になる原因や皮膚の機能を高める食事のとり方を紹介します。

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